夫婦別姓に関する2021年最高裁決定を弁護士がわかりやすく解説します!

夫婦別姓に関する2021年
最高裁決定を弁護士が
わかりやすく解説します!

投稿日 : 2021年06月23日カテゴリー : 法律コラム/判例解説

1はじめに

1はじめに

令和3年(2021年)6月23日、いわゆる選択的夫婦別姓制度に関して、最高裁判所において2度目となる「合憲」判断がなされました。

申立人らは、東京都内在住の3組の事実婚の夫婦で、各夫婦が世田谷区、国分寺市、八王子市に婚姻届を提出する際、婚姻届の「婚姻後の夫婦の氏」欄に「夫の氏」「妻の氏」両方のチェックを入れて届け出たところ、いずれも不受理扱いとされたため、戸籍法第122条(改正前戸籍法第121条)に基づき、こうした届出を受理するよう命じる審判を求めていました。家裁は訴えを退け、東京高裁も即時抗告を棄却したため、最高裁に特別抗告され、今回、この特別抗告に関する最高裁決定が出た流れとなります。

このページでは、これまでの選択的夫婦別姓制度についての議論等を振り返るとともに、今般、言い渡された最高裁決定についてのポイントをお伝えしたいと思います。

戸籍法第122条

戸籍事件(第百二十四条に規定する請求に係るものを除く。)について、市町村長の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができる。

2今回の最高裁決定に至るまでの経緯

2今回の最高裁決定に至るまでの経緯

このセクションでは賃金センサス(賃金構造基本統計調査)について詳しく説明します。

ポイント1.選択的夫婦別姓とは

1.選択的夫婦別姓とは

いわゆる選択的夫婦別姓制度(選択的夫婦別氏制度)とは、夫婦が望む場合には、婚姻後も夫婦がそれぞれ婚姻前の姓(氏)を称することを認める制度をいいます。

我が国では、民法第750条、民法第739条第1項、戸籍法第74条により、夫婦は婚姻時にいずれか一方が必ず姓を改めなければならないという夫婦同姓制度が採用されています。夫婦のいずれが姓を改めるかについては両者の協議に委ねられており、この規定自体が男女の差別的取扱いを定めているわけではないのですが、実際上、女性側が姓を改める例が多く、間接的に男女の差別的取扱いを定めているのではないかといわれることがあります。

こうした規定が、憲法第13条や、同法14条第1項、同法第24条に反するのではないかという形で議論されてきました。

民法第750条(夫婦の氏)

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

民法第739条(婚姻の届出)

1 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

2 省略

戸籍法第74条

婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

一 夫婦が称する氏

二 その他法務省令で定める事項

日本国憲法第13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法第14条

1 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

2~ 省略

日本国憲法第24条

1 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

ポイント2.意見の対立軸

2.意見の対立軸

これまでの選択的夫婦別姓制度の導入についての「否定」派の意見と「容認」派の意見を大まかにまとめてみました。

夫婦別姓「否定」派 夫婦別姓「容認」派

・姓が同一であることは家族としての一体感を生む。別姓とすることで伝統である家族の絆が希薄になる。

・家族の一体感という概念は抽象的で実体がない。価値観が多様化した現代社会において、夫婦は同姓であるべきという価値観を国家が強制すべきではない。夫婦同姓は明治31年に成立した民法で規定されたものにすぎず日本の伝統的な制度ではない。

・別姓を望む者にとっては、事実婚を強制させられることになり、不当な差別である。

・既に夫婦は同姓であることが社会に定着している。

・夫婦同姓を義務づけている国は、日本を含めて少数である。諸外国は法改正により夫婦同姓規定を廃止する流れにある。

・現行法は夫婦の合意により姓を選択でき、男女の不平等はない。

・職業活動を営む上での不利益は、通称使用で解消できる。

・実際上、女性が姓を改めている例がほとんどであり、実質的に不平等を招いている。

・職業活動を営む者(そのほとんどが女性)が姓を改めることで生じる不利益・不都合が大きい。

・子の姓を夫婦どちらの姓にするかについて、トラブルが多発するおそれがある。

・片親と氏が異なることへの心理的負担や社会の偏見などにより、子の福祉が害されるおそれがある。

・否定派の意見が懸念する子の姓を巡る問題は、同姓が義務づけられている現行制度を前提とするものであり、選択的夫婦別姓が制度化され、社会に定着すれば問題は生じない。

このように、夫婦が同姓であるということは伝統として守られるべき事柄なのか、夫婦同姓が強制されることによる弊害をどのように考えるのか、夫婦別姓制度を導入した場合の子の姓に関する問題をどのように考えるか、などが議論の対象とされています。

ポイント3.選択的夫婦別姓制度導入への動き

3.選択的夫婦別姓制度導入への動き

平成3年1月、法制審議会民法部会が、家族の在り方や個人の価値観の多様化などの動向を踏まえて婚姻・離婚法制の見直しの審議を開始し、平成8年2月に「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。この要綱にて、夫婦の氏については「婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。」とする選択的夫婦別姓制度が盛り込まれました。なお、夫婦別姓を選択した夫婦の子の姓については、婚姻の際に定めなければならないとしています。

しかしながら、当時は夫婦別姓制度に対する反対論・慎重論は根強く、法案として国会に提出されるまでには至りませんでした。その後、平成22年にも改正法案が準備されましたが、同じく国会提出には至りませんでした(当時の審議資料等については「こちら」からご覧いただけます。)。

日弁連(日本弁護士連合会)は、平成8年4月26日に「選択的夫婦別姓制導入等民法改正案の今国会上程を求める会長声明」を、平成14年4月20日に「選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案の今国会上程を求める会長声明」を発出しており、選択的夫婦別姓制度の導入について強く注視していたことが窺えます。

民法の一部を改正する法律案要綱

平成八年二月二十六日

法制審議会総会決定

第三 夫婦の氏

一 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。

二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。

第四 子の氏

一 嫡出である子の氏

嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は父母が第三、二により子が称する氏として定めた父若しくは母の氏を称するものとする。

二 養子の氏

1 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、養親が第三、二により子が称する氏として定めた氏)を称するものとする。

2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、1にかかわらず、養親とその配偶者が第三、二により子が称する氏として定めた氏を称するものとする。

3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、1、2を適用しないものとする。

三  子の氏の変更

1 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができるものとする。ただし、子の父母が氏を異にする夫婦であって子が未成年であるときは、父母の婚姻中は、特別の事情があるときでなければ、これをすることができないものとする。

2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、1にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができるものとする。

3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において、子が第三、二によって子が称する氏として定められた父又は母の氏と異なる氏を称するときは、子は、父母の婚姻中に限り、1にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができるものとする。ただし、父母の婚姻後に子がその氏を改めたときは、この限りでないものとする。

4 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、1から3までの行為をすることができるものとする。

5 1から4までによって氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができるものとする。

ポイント4.平成27年(2015年)最高裁判決

4.平成27年(2015年)最高裁判決

こうした流れがあった中で、平成27年(2015年)12月16日、夫婦別姓での婚姻届を義務づけている民法第750条の規定は憲法違反であるとして、国に対し、国家賠償を求めた訴訟に対する最高裁大法廷判決がありました。

夫婦別姓に関して初めて最高裁判所の判断が示されるということで注目が集まりましたが、最高裁は、民法第750条は憲法違反ではないとの判断をしました。その要旨は以下のとおりです(判決全文は「こちら」からご覧いただけます。)。

憲法13条について

・氏は、名とあいまって社会的に個人を他人から識別し特定する機能を有するものであり、自らの意思のみによって自由に定めたり、改めたりすることを認めることは本来の性質に沿わない。

・氏には、名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称として意義があることから、婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることは、その性質上予定されている。

・現行の法制度上、「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障されている人格権の一内容とはならない。

憲法14条について

・現行の民法第750条の定める夫婦同氏制それ自体は、夫婦の姓の決定を両者の合意に委ねている以上、形式的な不平等が存在するわけではなく、憲法第14条第1項に違反せず、平等の問題は生じない。

・なお、これまで夫の姓を選択する夫婦が圧倒的多数を占めている状況に鑑み、間接的な差別をなくすようにすることは、憲法第14条第1項の趣旨に沿うことため、社会に存する差別的な意識や慣習による影響は、合憲性を判断する上で考慮すべき事項とはなる。

憲法24条について

・憲法第24条は、婚姻及び家族に関する法制度の構築を国会の立法裁量に委ねており、当該制度が憲法第24条に適合するかは、当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し、当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超えるものであるかどうかで判断する。

・家族の呼称を一つに定めることには合理性があること、子が嫡出子であることを示すために両親双方と同氏である仕組みを確保することにも一定の意義があること、婚姻により氏を改める者の不利益は婚姻前の氏を通称として使用することが社会的にも広まっていることで一定程度緩和されていること等から、夫婦同氏制が直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠く制度であるとまではいえない。

この判決は、現行の夫婦同姓制度について「一定」の意義がある、夫婦別姓制度を導入せずとも通称使用によって不利益は「一定程度」緩和されているなどの控えめな表現が多々用いられており、夫婦同姓制度の合憲性を支える根拠はそれほど強固には示されていません。

なお、この判決は、夫婦同姓の制度が合理性を欠く制度ではないと述べたにとどまり、選択的夫婦別姓制度の導入の是非については何も述べていないことには注意する必要があります。この点については、寺田逸郎裁判官の補足意見において、「国民的議論、すなわち民主主義的なプロセスに委ねることによって合理的な仕組みの在り方を幅広く検討して決めるようにすることこそ、事の性格にふさわしい解決であるように思える」と述べられているとおり、夫婦別姓制度の導入は「司法」の問題ではなく、国会による「立法」で解決すべき問題であると示されました

このように結論としては「合憲」と判断されましたが、この判決では、裁判官15人のうち、5人の裁判官から、以下のように夫婦同姓は憲法第24条に反するという反対意見が出されています

岡部喜代子裁判官
(櫻井龍子裁判官)
(鬼丸かおる裁判官)

・「婚姻前の氏使用は,女性の社会進出の推進,仕事と家庭の両立策などによって婚姻前から継続する社会生活を送る女性が増加するとともにその合理性と必要性が増している」

・(96%を超える夫婦が夫の氏を称している現状は)「女性の社会的経済的な立場の弱さ,家庭生活における立場の弱さ,種々の事実上の圧力など様々な要因のもたらすところ」であり「その意思決定の過程に現実の不平等と力関係が作用」しており、「その点を配慮しないまま夫婦同氏に例外を設けないことは,多くの場合妻となった者のみが個人の尊厳の基礎である個人識別機能を損ねられ,また,自己喪失感といった負担を負うことになり,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した制度といえない。」

・(多数意見の指摘する通称使用による不利益緩和について)「通称は便宜的なもので,使用の許否,許される範囲等が定まっているわけではなく,現在のところ公的な文書には使用できない場合があるという欠陥がある上,通称名と戸籍名との同一性という新たな問題を惹起することになる。」「既に婚姻をためらう事態が生じている現在において,上記の不利益が一定程度緩和されているからといって夫婦が別の氏を称することを全く認めないことに合理性が認められるものではない。」

木内道祥裁判官

・「夫婦同氏(ひいては夫婦親子の同氏)が,第三者に夫婦親子ではないかとの印象を与える,夫婦親子との実感に資する可能性があるとはいえる。これが夫婦同氏の持つ利益である。」が、「問題は,夫婦同氏であることの合理性ではなく,夫婦同氏に例外を許さないことの合理性なのである。」

・(多数意見の指摘する通称使用による不利益緩和について)「法制化されない通称は,通称を許容するか否かが相手方の判断によるしかなく,氏を改めた者にとって,いちいち相手方の対応を確認する必要があり,個人の呼称の制度として大きな欠陥がある。」

・「他方,同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやくなる,あるいは,夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないのであるから,夫婦同氏の効用という点からは同氏に例外を許さないことに合理性があるということはできない。」

・「未成熟子に対する養育の責任と義務という点において,夫婦であるか否か,同氏であるか否かは関わりがないのであり,実質的に子の育成を十全に行うための仕組みを整えることが必要とされているのが今の時代であって,夫婦が同氏であることが未成熟子の育成にとって支えとなるものではない。」

山浦善樹裁判官

・(社会構造の変化や国内における立法の動き、海外における法制度の動きなどを考慮すれば)「法制審議会が法務大臣に「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申した平成8年以降相当期間を経過した時点においては,本件規定が憲法の規定に違反することが国会にとっても明白になっていたといえる。」

ポイント5.平成29年(2017年)世論調査

5.平成29年(2017年)世論調査

平成29年(2017年)12月に内閣府が実施した「家族の法制に関する世論調査」によると、選択的夫婦別姓制度を導入を容認すると回答した人が42.5%と過去の調査のうちで最高となりました。選択的夫婦別姓を求める声は相当高まっているとみることができます。

一方、夫婦同姓を維持すべきと回答した人は29.3%、選択的夫婦別姓制度の導入には反対だが、婚姻前の姓による通称使用を法制化することには賛成すると回答した人は24.4%であり、夫婦同姓制度を維持すべきと考えている人は全体で53.7%となります。国民の意識はまさに二分している状況です。

ただし、もう少し詳しく見てみると、夫婦同姓を維持すべきと回答した人の割合は、60~69歳で33.0%、70歳以上で52.3%と、他の年齢層と比較して大きく上回っています。選択的夫婦別姓制度の導入に関しては、年齢による意識の差が大きいことも見逃せません。

家族の法制に関する世論調査(内閣府)より抜粋
https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-kazoku/zh/z16.html

なお、夫婦の名字(姓)が違うと、夫婦間の子どもに何か影響が出てくると思うかとの質問について、子どもにとって好ましくない影響があると思うと答えた人は62.6%で、子どもに影響はないと思うと答えた人の32.4%を大きく上回っています。また、選択的夫婦別姓制度が導入されたと想定した上で、夫婦に二人以上の子どもがある場合に子ども同士(兄弟・姉妹)の姓が異なってもよいかとの質問について、子ども同士の姓は同じにするべきと答えた人は58.3%で、異なっても構わないと答えた人の14.9%を大きく上回っています。

これらの調査結果から、選択的夫婦別姓制度の導入は、夫婦それぞれ個々人や夫婦間だけの問題ではなく、子どもに対する影響も慎重に考慮して、その点を踏まえた制度設計を行うことが必須になると思われます。

家族の法制に関する世論調査(内閣府)より抜粋
https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-kazoku/zh/z16.html

家族の法制に関する世論調査(内閣府)より抜粋
https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-kazoku/zh/z16.html

ポイント6.令和3年(2021年)最高裁決定

6.令和3年(2021年)最高裁決定

前置きが長くなりましたが、以上のような流れを受けて、令和3年(2021年)6月23日、夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法に反するかについて、最高裁大法廷が2015年以来となる2度目の憲法判断を示しました。

社会情勢や国民の意識の変化等を受けて、平成27年(2015年)最高裁判決の判断が変更されるのではないかとして注目が集まりましたが、最高裁は、前回同様、民法第750条に憲法違反はないとして、再び「合憲」であると判断しました。決定の要旨は以下のとおりです(決定全文は「こちら」からご覧いただけます。)。

多数意見

①「民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは,当裁判所の判例とするところであり……上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないことは,平成27年大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。」

②「平成27年大法廷判決以降にみられる女性の有業率の上昇,管理職に占める女性の割合の増加その他の社会の変化や,いわゆる選択的夫婦別氏制の導入に賛成する者の割合の増加その他の国民の意識の変化といった原決定が認定する諸事情等を踏まえても,平成27年大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない。憲法24条違反をいう論旨は,採用することができない。」

③「夫婦の氏についてどのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題と,夫婦同氏制を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否かという憲法適合性の審査の問題とは,次元を異にするものである。」「この種の制度の在り方は,平成27年大法廷判決の指摘するとおり,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである。」

一方、裁判官15人のうち、4人の裁判官から、以下のように夫婦同姓は憲法第24条に反するという反対意見が出されました

宮崎裕子裁判官
宇賀克也裁判官

・(現行の夫婦同姓制度について)「生来の氏名に関する人格的利益の喪失を回避し,夫婦が同等の人格的利益を享受することを希望する者に対して夫婦同氏を婚姻成立の要件として当事者の婚姻をするについての意思決定を抑圧し,もって婚姻をするについての自由かつ平等な意思決定を侵害することについて,公共の福祉の観点から合理性があるということはできないと考える。」

・「夫婦同氏制を定める民法750条を含む本件各規定を,当事者双方が生来の氏を変更しないことを希望する場合に適用して単一の氏の記載(夫婦同氏)があることを婚姻届の受理要件とし,もって夫婦同氏を婚姻成立の要件とすることは,当事者の婚姻をするについての意思決定に対する不当な国家介入に当たるから,本件各規定はその限度で憲法24条1項の趣旨に反する。したがって,本件各規定は,その限度で,憲法24条2項の個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した法律とはいえず,立法裁量を逸脱しており……夫婦同氏制に例外を設けていないことを違憲とする。」

草野耕一裁判官

・「選択的夫婦別氏制を導入することによって向上する国民の福利は,同制度を導入することによって減少する国民の福利よりもはるかに大きいことが明白であり,かつ,減少するいかなる福利も人権又はこれに準ずる利益とはいえない。そうである以上,選択的夫婦別氏制を導入しないことは,余りにも個人の尊厳をないがしろにする所為であり,もはや国会の立法裁量の範囲を超えるほどに合理性を欠いているといわざるを得ず,本件各規定は,憲法24条に違反していると断ずるほかはない。」

三浦守裁判官

・「婚姻の際に婚姻前の氏を維持することに係る利益は,それが憲法上の権利として保障されるか否かの点は措くとしても,個人の重要な人格的利益ということができる。」

・「憲法24条1項が,婚姻は両当事者の合意のみに基づいて成立する旨を明記していることを考え併せると,法律が,婚姻の成立について,両当事者の合意以外に,不合理な要件を定めることは,違憲の問題を生じさせるというべきであり,その意味において,婚姻の自由は,同項により保障される。」

・「婚姻をするためには,二人のうちの一人が氏を変更するほかに選択の余地がない。これは,法の定める婚姻の要件が,個人の自由な意思決定について,意思に反しても氏の変更をして婚姻をするのか,意思に反しても婚姻をしないこととするのかという選択を迫るものである。婚姻の際に氏の変更を望まない当事者にとって,その氏の維持に係る人格的利益を放棄しなければ婚姻をすることができないことは,法制度の内容に意に沿わないところがあるか否かの問題ではなく,重要な法的利益を失うか否かの問題である。これは,婚姻をするかどうかについての自由な意思決定を制約するといわざるを得ない。」

・「夫婦同氏制は,現実の問題として,明らかに女性に不利益を与える効果を伴っており,両性の実質的平等という点で著しい不均衡が生じている。婚姻の際に氏の変更を望まない女性にとって,婚姻の自由の制約は,より強制に近い負担となっているといわざるを得ない。」

・「社会経済情勢の著しい変化等に伴い,国民の価値観や意識も大きく変化し,ライフスタイルや家族の生活の在り方も著しく多様化している。取り分け,女性の就業率の上昇とともに,いわゆる共働きの世帯が著しく増加しただけでなく,様々な分野において,継続的に社会と関わる活動等に携わる女性も大きく増加し,婚姻前の氏の維持に係る利益の重要性は,一層切実なものとなっている。」

4弁護士からみた最高裁決定に関する雑感

4弁護士からみた最高裁決定に関する雑感

弁護士目線からは、今回の最高裁決定について、疑問を感じる点も多くあります
今回の最高裁決定は、基本的に、平成27年(2015年)最高裁判決をそのまま踏襲した内容となっています。しかも、平成27年(2015年)最高裁判決では、5人の裁判官が憲法違反とする反対意見を出していましたが、今回の最高裁決定では4人の裁判官しか憲法違反とする反対意見を出しておらず、裁判官の人数だけを単純比較すれば、夫婦別姓制度の導入はむしろ遠のいたのではないかとの印象さえ受けます。

三浦裁判官の意見でも指摘されているように、婚姻の際に氏の変更を望まない当事者にとって、婚姻をするためには自己の意思に反してでも氏を変更するのか、もしくは婚姻をしないかという極めて不自由な選択肢しかありません。本決定の多数意見や平成27年最高裁判決があげるような夫婦同姓のメリット(家族の呼称を一つに定めることなど)を否定するわけではありませんが、家族のあり方や考え方が多様化した現代社会において、それ以外の例外を許さないとするほどの重要なメリットであるとは思われません。

一方、制度設計として多数の選択肢がある中で、どのような方法が望ましいか判断するのは国会であり、最終的には国民が考えるべき問題であるとする点は、多数意見の指摘するとおりだと思います。また、選択的夫婦別姓制度を導入するとしても、子の姓の決め方など検討すべき点は多数あります。特に、夫婦別姓を選択した場合、前述のような、子の福祉に対する影響には真摯に向き合わなければならないと思います。子は、親の選択をその意思とは関係なく受け入れなければなりません。子が成人した場合に自己の望む姓に変更できるという制度を採用したとしても、それだけで解決する問題ではないようと思います。例えば、これまで父の姓を使用していた子が、成人を機に母の姓に変える決断をしたと想定した場合、父子関係や母子関係に与える影響が全く皆無であるとは言い切れないように思います。

草野裁判官の反対意見では、「夫婦別氏とすることが子にもたらす福利の減少の多くは,夫婦同氏が社会のスタンダード(標準)となっていることを前提とするものである」と述べられています。しかし、夫婦別姓の選択肢が社会に浸透したとしても、夫婦同姓を選択した親を持つ子はそのような決断を迫られるわけではありませんから、簡単な問題ではないと思います。

そもそも、夫婦別姓を望む本質的な理由は何かという点について、国民の間で議論が十分にされていないようにも思います。姓という自己を示すアイデンティティを維持したいという「個人」としてのあり方が問われている問題なのか、それとも、己の姓を次の世代に受け継いでいきたいという「家族」のあり方が問われているのか問題なのか、いずれを重視するかによっても制度設計は大きく変わってくるように思います。
そういった観点からも、今回の最高裁決定をきっかけとして、我々国民が真摯にこの問題と向き合い、議論を深めていく必要があるのではないかと思います。

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